諏訪大社参拝記 (8/17) -上社前宮-

ようやく本文に入る。
八王子を8時に出発して上社前宮に着いたのは10時過ぎ。


道路沿いの駐車場から最初の鳥居を眺めたところ。着いた時にはかなり興奮して車の鍵をかけ忘れてしまい、妻に「もちつけ」と注意された。


最初の鳥居をくぐって30mほど歩くと狛犬がいる。左手には十間廊。右手にあるのは内御玉殿(うちみたまでん)。とりあえず本殿に向かう。この辺の少し高くなったあたりを神原(ごうばら)といい、上社の祭祀の中心地であった。諏訪大神の神格をもった生き神である大祝(おおほおり)の居館などもあったらしいが、室町時代に大祝が居館を移してしまったため、多くの神殿が消滅したらしい。鳥居近くの説明文には、「文明十五年(一四八三)正月、大祝家と諏訪惣領家の内訌による争いで一時聖地が穢れた事はあったが、」とある。


十間廊を横に通り過ぎてから本殿に向かう途中の道。非常に静か。脇にある溝にはきれいな水が流れていた。ちょっと懐かしい風景。


200m程歩くと本殿。現在の本殿は昭和7年伊勢神宮の古材で建てられたらしい。ご神体は本殿のはるか後方にある守屋山 (Google Map)。


本殿と御柱との位置関係はこんな感じ。右にあるのが一の御柱。長さは約17m、直径は約1.2mの樅の木。こういった御柱が4本あって、ぐるりと本殿を囲んでいる。本殿に対して、一の御柱を右手前とすると、二の御柱は左手前。三の御柱は左手奥。四の御柱は右手奥。どうして4本なのかは諸説あるが、要はいまだに謎。


一の御柱のアップ。御柱祭は寅年と申年の7年毎に行われる。ちなみに次回は、来年の平成22年。


本殿前からの風景。こうして見ると、眺めといい日当りといい、申し分のない場所に建てられている事が分かる。


来た道を戻る。写真は十間廊。御頭祭の舞台である。昔はこの場所に鹿の頭が75頭並べられていたと想像しよう。そして七不思議の一つである耳裂鹿がこの中にいたと。不慮の火災があったらしく、現在の建物は昭和34年に竣工したもの。


内御玉殿。新しく見えるのでスルーする人が多いが、実は重要な建物。諏訪明神の御神宝が納められていたらしい。昭和7年に造築されたが、一部に天正13年(1585)の旧殿の古材が使われている。

最後に社務所にて御朱印を頂いた。そういえば、参拝前に鳥居近くで自民党の候補者による演説会が行われていた。

諏訪大社参拝記 (8/17) -はじめに-

8月17日(月)に諏訪大社に家族で参拝してきたので、撮った写真などをまとめたいと思う。
諏訪大社に興味を持ったきっかけは、高田崇史著の「QED 諏訪の神霊」である。読んで、諏訪大社を構成する4つの宮 (上社の前宮と本宮、下社の春宮と秋宮) という複雑な構成にまず驚かされた。また全国的にも有名な御柱祭だけでなく、御頭祭のような原始的な行事が数多く残されている事にも興味がひかれた。読んだのは2年ほど前だったので、念願がかなった旅であった。
詳細はwikipediaにあるが、簡単にまとめておく。

今回は上記の順番で、車で移動した。上社前宮から上社本宮までは車で5分ほど。上社本宮から下社春宮は25分ぐらい。下社春宮から下社秋宮は5分程度。上社本宮と下社秋宮にある宝物殿も含めて隅々まで見て回ったので、だいたい4時間ぐらい全部でかかった。

御祭神は、建御名方神(たけみなかたのかみ)と八坂刀売神(やさかとめのかみ)。下社には建御名方神の兄神の八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)も祀られている。建御名方神といえば国譲りであるが、その説明はwikipediaに任せる。建御名方神を諏訪まで追い込んだ建御雷神を祀っている鹿島神宮や、経津主神香取神宮には今年の3月に一人旅で行ってきたばかりなので、比較もできる範囲で紹介できればと思う。

諏訪大社に関する基本的な疑問点としては次のようなものがあげられると思う。

  • どうして4つも宮があるのか?
  • 諏訪の七不思議(後述)はどういう経緯で生まれたのか?
  • 御柱祭は何のために生まれたのか?
  • どうして一万有余を数える分社(諏訪神社)が全国にあるのか?

もちろん素人が答えを見つけるなんて事は無理。。出来るのは本を読んだり参拝したりして、挙げられている説にいちゃもんをつけるぐらい。。

だいたい、諏訪大社には関係各位(英語だとstakeholder)が多すぎる。パッと思いつくだけでも次の通り。

これらを代表とする(信奉している)人々が諏訪地方に割拠していたわけで、そりゃあ七不思議というか由来が失われてしまったものがあってもおかしくない。ただ、諏訪神社が全国各地にあるという事実は大変面白く、何かしら普遍性を持ったものが諏訪から生まれていったのは間違いない、と言っても良いと思う。

以下、七不思議についてまとめる。

  1. 氷湖の神幸(おみわたり)
    • 諏訪湖が結氷して上社の浜から下社の湖岸にかけて亀裂が生じること。これは有名な自然現象。
  2. 元朝の蛙狩
    • 上社本宮の正月元旦の神事で、手水舎近くの御手洗川で氷を砕いて蛙を捕まえてお供えするのだが、どんなに寒い年でも蛙がとれるらしい。
  3. 五穀の筒粥
    • 下社春宮の正月の神事で、筒に入れた粥の状態で農作物の豊凶を占うのだが、とってもあたるらしい。
  4. 高野の耳裂鹿
    • 上社前宮の最大の神事である御頭祭では鹿の頭七十五頭を含む鳥獣魚類などのお供えをする。このときの七十五頭の鹿の頭の中に必ず耳の裂けたものがあるらしい。
  5. 葛井の清池
    • 茅野市上原にある旧摂社葛井神社の大晦日の神事の際に、その神池に上社本宮に祀ってあった御幣束を沈めると、翌日の元旦には遠州さなぎの池に浮かび上がるらしい。
  6. 宝殿の天滴
    • 上社本宮の御宝殿の屋根からは、どんなに干天のときでも最低3滴の水滴が落ちるらしい。
  7. 御作田の早稲
    • 下社春宮と秋宮の間には神社の斎田があり、御作田社はその守護神と言われている。その斎田で6月30日に田植えをして、一ヶ月後の8月1日には神前に供する事ができたらしい。

あと、上社と下社でそれぞれ微妙に異なる七不思議も伝えられているようだが、省略。面白いのを一つだけ紹介。

  • 穂屋野の三光
    • 御斜山社祭の際に、太陽、月、星の三つを同時に拝む事ができるらしい。

以下、各宮の記事へのリンクをまとめておく。